菅沼貞風さんの碑。東京大学の卒論にて『大日本商業史』を著し、担当教授が舌をまいたその著作は、本として刊行されたようです。徳川以前から鎖国時代までの貿易通商の沿革を、なんと350万言(原文通り。400字原稿用紙で8800枚)にまとめた傑作であったそうです。引用書物の証が驚くほど正確であったそうで、且つご本人なりの明快な考察を踏まえた大著作であったようです。慶応元年(1865)生まれ。幼名貞一郎で、成年になって貞風と改名されたそうです。昼は郡役所に勤め、夜は旧藩主の松浦(まつら)伯爵が興した猶興(ゆうこう)書院で学び、大蔵省が貿易沿革史編纂のための史料を長崎県に求めると、県は北松浦郡役所に古貿易港としての平戸の史料を集めさせてそうですが、それを貞風さんが担当したそうです。そして、それが『平戸貿易史』となりました。これは後の『大日本商業史』の源流となった著作で関係者を驚嘆させる出来栄えだったようです。こうしたことから、旧殿様からの学資支援で東京帝国大学の文学部古典科に学ぶに至り、先の大論文へと結びつくのです。たいへんな勉強家で、学生間で「貞風の正科は図書館。余暇は講義」と評判になるほどだったそうです。『大日本商業史・付平戸貿易史』は『新日本図南之夢』と共に没後に敢行されているようです。