大迫ダムの湖畔の断崖にへばりつくように建つ「山鳩湯」は、公営の「五色湯」とともに入之波温泉を形成しているが、泉質はまったく異なる。「五色湯」が単純泉なのに対して、山鳩湯は、成分の多い濁り湯で含炭酸重曹泉。源泉温度は39.0℃と低め。入之波温泉自体はかなり古い歴史をほこり、平安時代にはすでに開湯、江戸時代には湯治場として栄えていたという。温泉は昭和48年の大迫ダムの完成により一旦ダムに沈んだものの、再びボーリングによって蘇り、「山鳩湯旅館」として営業を始めた。温泉のほかは静かなダムの湖面と夜になれば鹿の声以外聞こえない何もない場所であり、かつては秘湯の名をほしいままにした。
駐車場の数が少ないのが難点だが、湖畔に建つだけに露天風呂からの眺望は素晴らしい。5〜6人しか入れないが、ケヤキの切り株で作られたという浴槽は湯ノ花が付着し、木であるとは気付くまい。露天風呂から下を覗くと、湯の落ちる下の岩盤は、湯ノ花で黄色く染まり、雄大なダム湖とともに壮観である。行楽シーズンには結構込み合うが、ぬるめの露天風呂にはいつまでも浸かっていたくなる。日帰り入浴が10時〜17時と短いのが難点。本当は誰にも知られたくない湯。大台ケ原の帰りの客も多い。
入浴:大人 600円 小学生以下 400円
宿泊:1泊2食付11,550円〜 (要予約)